うまく行けば その国の言語を学ぶためにも使えるんじゃないか、と思いついて。
海外旅行をする人にとって、workaway は注目のプラットフォーム。
ボランティアをする代わりに、中長期(数週間~数か月間)にわたって無料で現地家庭に滞在できます。
フクロウはこれまで、5回ほど使ってきました。
ルクセンブルク、ポーランド、イラン、タイ、ベトナム・・・。
そのさまを見て、慎重なネコくんは 思いつきました。
これは、費用をかけずに語学を伸ばす 最適な手段になるのではないか?と。
なぜWorkawayで言語学習?

ある言語を集中的に学びたい!とき、現地の語学学校に通う という手段があります。
ただ、多くの場合において 費用はとても嵩むでしょう。
数週間~数か月でも、おそらく数十万円はするはず・・・。
この点、workawayを使えば *滞在費や食費がただになる。
ちゃんと整った形での授業は受けられないけど、
現地の人と生活を送る中で 直にコミュニケーションを図ったり、
その言語環境に 四六時中身を浸すことができる(=授業料がかからない)。
本人のやる気次第で、いくらでも伸ばせるのではないか。
長らく頭の隅にあった計画。今回、実行してみました。
*ホスト先によって、いくらか支払うこともあります。
やってみた
●イタリア語を二週間!

著者は長年、イタリア語をやってみたいと思っていました。
ほとんど初心者ですが、スペイン語(イタリア語にとても似ている)の知識があったため
比較的学びやすく、すらすらと 頭に入ってきます。
とはいえ、ちゃんと本格的に学ぶのは初めてです。
このゼロ状態から、現地に飛び込むと どこまで伸びるのでしょーか!

今回は、イタリア最北部・アルプス山脈のふもとへ。
滞在日数は二週間+αほど。正直、言語学習にしては少ない!と思いますが
「この生活を続けていって ちゃんと伸びていきそうか」を検証できればいいかな、と思ったので
今回はこの日数にしました。
●どんな暮らし?

山のすぐ近くにあるお家。
けっこう北という北です。イタリアの春といえど、とても寒いのです。
標高も高いからなおのこと・・・。
イタリア人男性とアルゼンチン人女性(イタリア語流暢)のカップルのもと、
自家製農園や家事のお手伝いをしていました。

週2日のお休みと、週5日の労働。
だいたいのスケジュールとしては、
9:00 | 朝ごはん |
12:00頃まで | 作業 |
13:00 | お昼ごはん(いっしょ) |
15:30-18:00 | 作業 |
19:00-20:00 | 夕ごはん(いっしょ) |
22:00-23:00 | 就寝 |
という感じでした。
お昼ごはんや夕ごはんの時には しばしば地域の友人たちも招かれて 一緒に食卓を囲みました。

●どうやって学んでいった?
ひとまず、ゼロからのスタートだったため
日本から イタリア語の文法書や単語帳のテキストを持っていきました。
基本的なことは自分で 何もない時間を利用しつつ、学んでいきました。
学んだ基礎的な構文・単語を駆使しながら
ホストさんらと顔を合わせるたびに、言えそうなところはイタリア語で言ってみる。
雑談や食事でも。
生活空間に密着して 聴くスキルを上げていこう。
なので、
空き時間 ⇒ インプット (自身で文法や単語習得)
イタリア人との時間 ⇒ アウトプット (話したり聴いたり)
というルーティーンで学んでいくスタイルが基本になりました。
うまくいったこと

●ところどころの単語は聞き取れるように
イタリア語の中でも、もっとも基本的・頻繁に出てくる単語に関しては、
ある程度 聴き取れるようになりました。
「arancia (オレンジ)」「padre (父親)」「cucina (キッチン)」…
また、とくに接続詞は どんな会話においてもほとんど出てくるため
何度も反復して聴いていく中で、すっかり耳につきました。
「più (さらに/もっと)」「ma (だけど)」「quindi (だから)」…
「あ、今 “だけど” って話を切り替えたな」、というところまでは理解できました。
●生活上の言葉はすぐになじむ
あいさつの表現は すっと頭に入ってきます。
「Buongiorno (おはよう)」「Buonasera (おやすみ)」などは毎日言うので もちろんのこと、
「Buon appetito (いただきます)」「Andiamo! (行こう!)」といった、一言でよく使われる表現も
だいたい感覚に慣れてきます。
また、ちょっと長くなれば
「Ho comprato qualcosa di buono da mangiare (うまいものを買ってきたよ)」
といった、単語的にはそんな難しくない表現であれば 理解できました。
“普段の日常”という文脈を共有してるからこそ、
より理解がはかどりましたね。
うまくいかなかったこと

●案外英語に頼りがち!
workawayをやっているホストさんとは、基本的に英語でコンタクトしあう。
だから、いざ会っても 結局英語で話してしまうことが多かった。
常にイタリア語で話してくれるよう、お願いもできた。
けど、それなりの知識/ヒアリングスキルがないと「なんて言った?」「それってどういう意味?」と、
ずっと尋ね続けてしまうことに…。
そうなると、ちょっと申し訳なさもあったし、
workawayはあくまでも 労働をすることが求められている、ということ。
だから、スムーズにコミュニケーションできるにこしたことはない。
実際、ネイティブにしっかり付き添ってもらう!本格的にフィードバックをもらい続けたい!
ということであれば、語学学校の方に旗が上がるかな、と思いました。
●初級レベルだと、ほとんど会話を理解できない!
イタリア人同士の会話は ひたすら耳にした。
けど、正直何について話しているのかは ほとんど理解できない。(一割にも満たないくらい・・・?)
イタリア語については、ほとんど初心者。
どちらかといえば、普段のネイティブ同士の会話からよりも
日本から持ち寄った教材から 新しく学んだことのほうが 大きかったです。
上述したように、ところどころに出てくる単語や接続詞は理解できるのですが、
全体として語られている内容までは 把握できませんでした…。
【結論】: 中級レベルまで鍛えてから行くのがベスト

●基礎は他の方法で学んだほうが早い
アルファベットや、基礎的な文の構造など。
言語の中でも、一番基本中の基本なところから学ぶとすると、
それなりの時間と意識をコミットする必要がある。
この段階までなら、がんばればひとりで独習できるし
ネイティブ教師や語学学校につけば まとまったカリキュラムで教えてくれる。
けれど、workawayのホストさんの場合には、そもそもホストさん自身の時間がある。
教えるのが好きで手伝ってくれる、という場合でも
毎日のように 時間をかけて付き合ってくれるとは限りません。
なので、基礎レベルを身に着けるのだったら、
workawayをする必要はないのではないか?と思いました。
●中級レベルから 学びの質が上がる
だいたいの文法が理解でき、型にはまったフレーズもたくさん言えるようになれば、
それを通して、話すことも聞くことも ある程度できるようになるでしょう。
「〇〇〇ってなんて言うんだっけ」
「今言った~~~ってどういう意味?」
そんな質問も現地の言葉で行なって、説明もその言葉で受けられるのではないでしょうか。
そうなれば、日常の様々な面から 新しいフレーズ・語彙・言い方・学ぶ機会が生まれるし、
良いスピーキング・リスニングの練習になるでしょう。
●Workawayはあくまでボランティア
やはり、語学学校に通うのとは違って、メインは”ボランティア”です。
「旅人と交流する」のが目的なホストさんがほとんどと思われるし、
ことばを教えてくれるのにも 熱心な方々が多いのではないかと 思われます。
ただ、本格的に「とにかく語学力を伸ばしたい!」という際には、
ボランティアとして捧げる労働時間の割合も考えたほうがいいし、
普段の日常時間を いかに語学学習に活用できるか、に大きくかかっているのではないでしょうか。
となれば、最初から何も話せない状態から しどろもどろになっているよりも、
ある程度 その言語で話す・聞くができた状態から入って、さらに伸ばしていく方が
より効果的なのではないでしょうか。
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