ゲーテの家で学んだ イノベーション論@ドイツ/フランクフルト【欧州横断記】

ドイツ、ヘッセン州最大の都市・フランクフルト

フランクフルトへやってきた!
フランクフルトの都会っぷりはすごい。

ドイツで第5の都市といわれる、フランクフルトにやってきた。
金融業が盛んなためか、近代的な建築やビルが林立している。

直前まで、華やかな旧市街・ルクセンブルクの町並みに浸っていたせいか
現代的な冷ややかさを感じる雰囲気に ちょっとだけ 気圧される気も。

どこを探索しようかな、と思い 観光マップを広げる。
ビルの立ち並ぶ街並みで、おもしろそうなところあるんだろうか、と思っていると・・・。

イタリア旅行中のゲーテ
イタリア旅行中のゲーテ

この街には 国民的な文学者・ゲーテの生家があるらしい (!)

若きウェルテルの悩み」や「ファウスト」といった、世界的にも有名な作品を書いた人という。
ストーリーの概要くらいは知っていたけど、彼自身のことは あまりくわしくは知らなかった。
ただ、ドイツ史上・最大の教養人 と聞いたため、一層興味がわく。どんな家なんだろう。

ホステルを出て、彼の生誕地へ 向かうことにする。


ゲーテのお家へ遊びに行ったよ。

ゲーテの家の前にて
ここがゲーテ君のおうちかぁ。

思っていたよりも、外見はそこまで派手じゃなかった。
普通の家屋が続いている中で、ふと「あ、ここなんだ」と立ち止まって気づくような。

入場料を払って、中へと入らせてもらう。

一階 内部
おじゃましま~す。
応接間のようなところ
応接間のようなところ

第一印象としては、全体的に、ゆったりとしている。
(良い意味で)余白がたくさんある、というか。

たとえば僕は ずっと東京で生まれ育ってきたからか、
効率性」「人がより多く住めるために」という 行政的な意図がありそうな
自宅の凝縮さや 近隣家屋の密集ぷりを 日常的に生きてきた。
それとは真逆な空間を思わされる。

たとえて言えば、電車の中をイメージするとわかりやすい。
席を可能な限り押し詰めて、ひとりでも多くの人が座れるよう
ぎゅうぎゅうになりつつも 空きをつくろうとする。
そうしないと、「ひとりでスペースつかいすぎ!」という視線が怖くなってしまうからだ。

ゲーテの家は、なんか それに対して「そんなあくせくしてると、想像力失ってしまうよ。はっはっは」とでも言うかのような。

ゲーテの家の階段
ゲーテの家の階段

1階がキッチンや応接間。合計で4階建てなので、上ってみる。
この階段の広さも なんか好きだなぁ。

音楽室
ここは確か音楽室。家族がそれぞれ自分の楽器で練習できるようなスペース。 一家で演奏会を開いたりもしたそうな。
父の書斎
ゲーテ父の書斎。古今東西、ありとあらゆる本が。
ギャラリー
ギャラリーも画廊のよう! 父が持ち寄ったイタリアの絵を見て 幼少期からイタリアに強い思いを抱く。 実際にゲーテは 37歳くらいのころ、このときの思いを胸に イタリアへ二年間ほど旅に出かける。
ゲーテが影絵で遊んでたころ
ゲーテが人形劇(影絵みたいな?)で遊んでたという。幼少期から 創造的に生きてたんだなぁ。
ふくろう?な時計台
ふくろうな天文時計台。さすらうふくろうと同じだ。けど、背骨(首?)しかない。ほっほー。
詩人の間
詩人の間ファウストはここで仕上げたという。

総じて。

ひととおり歩きまわっていて、頭の中をひとつの考えが うごめいていた。
ゲーテみたいな人を育てるって、どうやったら可能なんだろう、と。

基本的にぼくは、「天才」というあり方を信じない。
人が優れている/劣っている、というふうに見られそうなのは
すべて 習慣の形成によるものであって、先天的には決まらないと思う。

ゲーテもその例外ではない、と思う。
この家を見て思った。
ゲーテは何も、生まれたときからゲーテだったのではなく

近隣を気にせず 自由に演奏できる音楽室
ありとあらゆる分野の知見が凝縮した書斎
小さいときから見ていた イタリアの町の絵
太陽や月の位置とともに星座を知れる 不思議な天文台

この 情緒豊かに 好奇心を自然と養ってしまうような 環境
これこそが ゲーテをゲーテにしたんだと思った。

心理学的にも、プライミング効果というのがある。

“プライミング効果とは、先行する刺激(プライマー)の処理によって、後続刺激(ターゲット)の処理が促進または抑制される効果と定義される。” (脳科学辞典より)

かんたんに言うと、普段から見慣れていること(先行する刺激)が多くあればあるほど、
日常のレベルで その分野に関しての知的な”芽”ができ、自然と伸びていく(後続刺激の処理が促進)、ということだ。

実際、彼はこんな環境だったからこそ
色彩論」という色の原理を研究した本も出版したし、
西東詩集」として ペルシャの詩人やコーランといった 東洋の世界にまで憧れたし
イタリア紀行」を、幼少期からの憧れを実現させ 記述し出した。

クリエイティブな思考を養う
cmart29 / 創造性を養う。

だからこそ、彼を生みだしたような”環境”をひたすら再生産することで
何十人、何百人というゲーテを新たに生み出せないか。

コワーキングスペース寮教育(レジデンシャル・エデュケーション)などは
その良い例だと思う。
常に新たな刺激が 変わる変わる やってくるように
仕向けてデザインしているからだ。

流動性が激しい現代。だからこそ教養が、ゲーテが必要だ。
効率性」「可能な限り多くの人を」という発想から
充実性」「少ない人で良質なことを」という考えへの 転換をはかる。

東京都細々とした小さな部屋で 育ってきた自分。
そういえば、すぐお隣さんに響くからと言われて
ろくに楽器も家で弾けなかったな、と思い出した。それでいて 地価も高いし・・・。

どんな空間が 人間らしさに望まれているだろうか?
ゲーテの家は、その保存とともに
いまでもそのヒントを供給しつづけてくれているようだった。

Goethe House (公式サイト)

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